第6章・投資の基本

不動産投資はむずかしい。新築ワンルームはいちばん手を出してはいけない

「家賃収入で、老後も安心」「節税になります」「生命保険の代わりになります」。こんな言葉で、マンションを1部屋買うワンルーム投資⁠をすすめられることがあります。

わたしは、不動産投資はふつうの会社員が片手間でやるには、とてもむずかしい⁠と考えています。とくに新築のワンルーム⁠は、いちばん手を出してはいけないものです。

この記事でわかること 不動産投資がむずかしい理由/新築ワンルームで損をするしくみ/勧誘のよくあるパターン

1. 不動産投資は「投資」より「商売」

不動産投資は、株や投資信託のように、買ってほったらかしにできるものではありません。

  • 物件を選ぶ目⁠が必要:よいものを安く買えるかで、ほとんどが決まる
  • 手間がかかる:入居者さがし・修繕・トラブルの対応
  • 大きなお金が必要:生活防衛資金とは別に、まとまった自己資金がいる
  • すぐに売れない:売りたいときに、半年たっても売れないことがある

本気で取り組む人は、何百件も物件を見て、やっと1件を買います。汗をかく「賃貸業」という商売⁠だと考えたほうが、実態に近いと思います。

2. 新築ワンルームで損をするしくみ

業者がすすめる新築ワンルームの「利回り」は、ほとんどの場合、経費を引く前の数字⁠です。仮の数字で計算してみます。

1年あたり
家賃(月9万円) 108万円
管理費・修繕積立金 −18万円
固定資産税 −8万円
管理会社への手数料 −5.4万円
空室(1か月) −9万円
保険など −1万円
残るお金 約66万円

2,500万円の部屋なら、うたい文句の利回りは4.3%⁠ですが、経費を引くと約2.7%⁠です。さらに、2,500万円をローン(金利2%)で借りていれば、利息だけで1年に約50万円。手元に残るのは、ほんのわずかです。

ここには、まだ入っていないものがあります。

  • 入居者が出ていくたびのリフォーム代⁠や広告費
  • 古くなるにつれて下がる家賃
  • 上がっていく修繕積立金⁠と金利
  • 部屋そのものの値下がり

新築の値段には、販売会社の利益や広告費が上乗せされています。買ったとたんに、売るときの値段は、払った額より下がる⁠のがふつうです。

「家賃で返せる」は、満室・経費ゼロ・値下がりなしの話。現実はそうならない。

3. 勧誘のことばの、本当の意味

すすめる人のことば 本当のところ
節税になります 赤字になるから税金が減るだけ。損をする前提
銀行がお金を貸すから安心 銀行は物件ではなく、あなたの給料⁠に貸している
生命保険の代わりになる 掛け捨ての生命保険のほうが、ずっと安い(⁠「生命保険は「収入保障保険」」⁠)
家賃は保証します(サブリース) 数年で家賃が下げられることが多い
年金の足しになります 古くなった部屋は、家賃が下がり、空室が増える

公務員や大きな会社の会社員、医師など、収入が安定している人ほど、銀行がお金を貸してくれる⁠ので、ねらわれやすくなります。

4. 勧誘は、意外なところから来る

  • 知らない番号からの電話
  • SNSのメッセージ
  • マッチングアプリ⁠や婚活・交流会で知り合った人
  • 職場の先輩や、友人の紹介

仲良くなってから投資の話になるパターンは、要注意です。「1部屋目がうまくいったら、もう1部屋」とすすめられ、借金が増えていくこともあります。詐欺のサインは「投資の詐欺は「元本保証」「高利回り」「紹介で稼げる」の3つで見抜く」⁠にまとめています。

5. 不動産に投資したいなら

どうしても不動産に投資したいなら、まずは、

から考えるのがおすすめです。本気で賃貸業をやりたい人は、本で学び、自己資金を用意し、相談できる仲間を作ってからにします。

まとめ

  • 不動産投資は、物件選び・手間・まとまったお金が必要な「商売」
  • 新築ワンルームは、経費や値下がりを入れると、ほとんど利益が残らない
  • 「節税」「銀行が貸すから安心」は、損をしない理由にならない
  • 不動産に投資したいなら、まずはREITから

この記事はわたしの考え方です。表の金額は説明のための仮の数字です。特定の投資をすすめる・否定するものではありません。

この記事を書いた人:管理人のこつこつ
都内で共働き・子ども1人と犬1匹の会社員。家計と配当の記録を、自分で作ったアプリで計算しています。 くわしいプロフィール