第3章・保険と備え 全10本中の3本目

付加給付とは? 健康保険組合や共済なら、医療費の自己負担がさらに小さくなる(協会けんぽ・国保にはない)

この記事の目次

病院の窓口で払う医療費には、ひと月の上限⁠があります(⁠高額療養費⁠)。これは、だれが入っている健康保険でも同じしくみです。

ところが、入っている健康保険によっては、その上限よりもさらに少ない額⁠しか払わなくていいことがあります。これが付加給付⁠です。同じ入院をしても、入っている健康保険で、手元から出ていくお金が数万円変わります。

この記事でわかること 付加給付とは何か/どの健康保険にあるか/100万円の医療費でいくら変わるか/自分の保険にあるかの確かめ方/転職や退職のときに気をつけること

1. 健康保険には、いくつかの種類がある

日本では全員が、どれかの健康保険に入っています。働き方によって、入る先がちがいます。

入る先 どんな人 付加給付
健康保険組合 大きな会社や、同じ業界の会社で作る組合の社員と家族 あることが多い
共済組合 公務員・私立学校の先生と家族 あることが多い
協会けんぽ 主に中小企業の社員と家族 ない
国民健康保険 自営業・フリーランス・退職した人など ない

付加給付⁠は、健康保険組合や共済組合が、国の決まり(高額療養費)⁠に上乗せして独自に払っている⁠お金です。組合の名前によって、「一部負担還元金」「一部負担金払戻金」「家族療養費付加金」⁠などと呼ばれます。

2. 100万円の医療費で、いくら変わるか

年収が約370〜770万円の人が、ひと月に100万円⁠の医療費(保険がきく治療)⁠がかかった場合で比べます。付加給付は「ひと月の自己負担が2万5,000円を超えたら、超えた分を払い戻す」⁠という組合の例です。

協会けんぽ・国保 付加給付がある組合
窓口で払う額(3割) 30万円 30万円
高額療養費のあと 約9万3,000円 約9万3,000円
付加給付のあと ― 約2万5,000円

高額療養費の上限は 85,800円+(100万円−28万6,000円)×1% = 92,940円⁠です(2026年8月からの決まり)。付加給付のある組合なら、そこからさらに戻ってきて、実際の負担は2万5,000円ほど⁠になります。

同じ入院でも、入っている健康保険で、出ていくお金が約7万円ちがう。

気をつけたいこと

  • 保険がきかないものは対象外:入院中の食事代、個室の差額ベッド代、先進医療などは、高額療養費にも付加給付にも入りません
  • 数え方は組合ごとにちがう:「1人ごと」「ひと月ごと」「病院ごと」⁠に数える、入院と外来を分ける、1,000円未満は切り捨てる、などの決まりがあります
  • 戻ってくるのは数か月あと:病院から組合に届く明細をもとに計算するので、自動で振り込まれる場合でも、2〜4か月ほどかかることが多いです。申請が要る組合もあります
  • 付加給付は見直されることがある:組合のお財布の事情で、金額を変えたりやめたりすることもあります

3. 自分の健康保険にあるか、確かめる方法

  1. 入っている健康保険の名前を確かめる:マイナポータルの「健康保険証」⁠の情報や、資格確認書、会社から届いた案内に書いてあります
  2. 名前に「協会けんぽ」「国民健康保険」⁠とあれば、付加給付はない
  3. 「◯◯健康保険組合」「◯◯共済組合」⁠なら、その組合のホームページで「付加給付」⁠を探す:「給付の一覧」「病気やけがをしたとき」⁠のページにあることが多いです
  4. 分からなければ、会社の総務や組合に聞く

組合によっては、病気で休んだときの傷病手当金に上乗せ⁠があったり、もらえる期間が長かったりすることもあります。いっしょに確かめておくと安心です。

4. 付加給付があれば、医療保険はもっといらなくなる

わたしは、民間の医療保険には入っていません(⁠「医療保険に入らない理由」⁠)。ひと月の医療費には上限があり、その分は生活防衛資金⁠(⁠「生活防衛資金はいくら必要?」⁠)⁠で払えるからです。

付加給付のある健康保険に入っている人なら、ひと月の自己負担は数万円で収まります。毎月の保険料を払い続けるより、その分を貯金しておく⁠ほうが、ずっと身軽です。

💡 不安なら、まず数字で出してみる。「高額療養費のあといくらか」「付加給付でいくらか」「貯金で何か月払えるか」。それで足りるなら、保険を足す必要はありません。

5. 転職・退職のときは「健康保険も変わる」

付加給付は、会社(入っている組合)⁠についてくる⁠ものです。

  • 転職⁠すると、健康保険も変わります。健康保険組合から協会けんぽに変わる転職だと、付加給付はなくなります。給料だけでなく、こうした福利厚生も含めて比べる⁠のがおすすめです(⁠「転職先を選ぶ条件」⁠)
  • 退職⁠して国民健康保険に入ると、付加給付はなくなります。「任意継続」⁠で同じ健康保険に最大2年残れる場合は、付加給付や保険料の扱いを組合に確かめてから選びましょう

まとめ

  • 高額療養費はだれでも同じ。健康保険組合や共済組合には、さらに上乗せの付加給付⁠があることが多い
  • 協会けんぽと国民健康保険には付加給付はない
  • 例⁠:100万円の医療費で、高額療養費のあと約9万3,000円 → 付加給付があると約2万5,000円
  • 食事代・差額ベッド代・保険がきかない治療は対象外。数え方や戻る時期は組合ごとにちがう
  • 自分の健康保険の名前を確かめ、組合のホームページで「付加給付」⁠を探す。転職・退職のときは、健康保険が変わることも計算に入れる

この記事は2026年10月時点の制度をもとにした、わたしの考えです。付加給付の有無や金額は組合ごとに異なり、見直されることもあります。くわしくは、加入している健康保険にご確認ください。

この記事を書いた人:管理人のこつこつ
都内に住む共働きの会社員。家族は妻と子ども1人、それに犬が1匹。家計と配当の記録を、自分で作ったアプリで計算しています。 くわしいプロフィール