第2章・税金と制度 全14本中の3本目

標準報酬月額ってなに? 4〜6月の給料で1年の社会保険料が決まる。わたしの給料明細で見た変化

給料明細の「健康保険」⁠や「厚生年金」⁠の金額は、毎月の給料にそのまま割合をかけているわけではありません。もとになっているのは、標準報酬月額⁠という、給料の「目安の額」⁠です。

名前はむずかしそうですが、そもそも何なのか・いつ決まるのか・それで何が変わるのか⁠を知っておくと、給料明細の見え方が変わります。わたしの給料明細を使って説明します。

この記事でわかること 標準報酬月額のしくみ/いつ決まって、いつ変わるのか/わたしの明細で見た実際の変化/保険料・年金・手当への影響

1. 標準報酬月額は、社会保険料を計算するための「給料の目安」

毎月の給料は、残業などで少しずつちがいます。そのたびに保険料を計算し直すのは大変なので、給料を区切りのいい幅(等級)⁠に当てはめて、目安の額を決めています。これが標準報酬月額⁠です。

たとえば、給料が37万円から39.5万円のあいだ⁠なら、標準報酬月額は38万円⁠になります。健康保険と厚生年金の保険料は、この38万円に割合をかけて計算します(⁠「給料から引かれているもの一覧」⁠)。

保険料のもとは「その月の給料」⁠ではなく、「決められた目安の額」。

2. いつ決まる? 毎年4〜6月の給料で決まる

標準報酬月額は、ふつう1年に1回決め直します。

決まり方 いつの給料で いつから使う
毎年の見直し(定時決定) 4月・5月・6月の給料の平均 その年の9月から1年間
給料が大きく変わったとき(随時改定) 変わった月から3か月の平均 4か月目から
入社したとき 見込みの給料 入社した月から

ここで大事なのは、4〜6月の給料には、残業代や通勤手当もふくまれる⁠ことです。この3か月に残業が多いと、そのあと1年間の保険料が上がります。

また、保険料は「前の月の分を、翌月の支給分から引く」会社が多いので、新しい額が明細に出てくるのは10月の給料から⁠、ということがよくあります。

3. わたしの給料明細で見ると

わたしの明細で、厚生年金の保険料を追ってみました。

時期 毎月の厚生年金の保険料(自分の分)
2022年9月まで 27,450円
2022年10月から 31,110円
2023年10月から 34,770円
2024年10月から 37,515円
2025年の転職のあと 34,770円

前の会社では、毎年10月の給料で⁠、保険料が一段ずつ上がっていました。給料が上がるにつれて、4〜6月の平均も上がり、標準報酬月額が上がっていたからです。

2026年の4〜6月の給料は、平均すると約38.6万円でした。37万〜39.5万円の幅に入るので、標準報酬月額は38万円のまま⁠の計算です。

4. 標準報酬月額で、何が変わる?

変わるもの 標準報酬月額が上がると
健康保険・厚生年金の保険料 増える(手取りは減る)
将来の厚生年金 増える
病気やけがで休んだときの傷病手当金 増える(⁠「病気やけがで働けなくなったら」⁠)
出産のときの出産手当金 増える

保険料が上がるのは痛いですが、そのぶん、将来の年金や、もしものときの手当も増えます⁠。損ばかりではありません。

なお、育休の給付金は、雇用保険の別の計算(休む前の賃金)⁠で決まるので、標準報酬月額とは関係ありません(⁠「男性の育休、給付金は手取りの10割近く」⁠)。

5. 「4〜6月は残業しないほうが得」⁠は本当?

よく聞く話ですが、わざわざ残業を減らすほどの差ではない⁠ことが多いです。

  • 4〜6月に残業が多くても、等級が1つ2つ上がる程度のことが多い
  • 保険料が上がったぶん、年金や手当も増える
  • 残業を減らすと、その月の給料そのものが減る

それよりも、4〜6月の給料で1年の保険料が決まる⁠と知っておいて、10月の明細で手取りが変わっても驚かないことのほうが大事です。

まとめ

  • 標準報酬月額は、社会保険料を計算するための「給料の目安の額」
  • 毎年4〜6月の給料(残業代・通勤手当もふくむ)⁠の平均で決まり、9月から1年間使う
  • わたしの前の会社では、毎年10月の給料で保険料が一段ずつ上がっていた
  • 上がると保険料は増えるが、将来の年金や傷病手当金も増える

この記事は一般的なしくみの説明と、わたしの記録です。保険料の割合や、新しい額が明細に出る月は、会社や加入している健康保険によってちがいます。

この記事を書いた人:管理人のこつこつ
都内に住む共働きの会社員。家族は妻と子ども1人、それに犬が1匹。家計と配当の記録を、自分で作ったアプリで計算しています。 くわしいプロフィール