第2章・税金と制度

医療費控除は「1年で10万円」をこえたら。家族の分もまとめて申告できる

病院や薬局で払ったお金が多かった年は、確定申告をすると、税金の一部が戻ってくることがあります。これが医療費控除⁠です。

この記事でわかること 医療費控除のしくみ/いくら戻るか/対象になるもの・ならないもの/申告のしかた

1. 1年間の医療費が10万円をこえた分が対象

医療費控除は、1年間(1月〜12月)に払った医療費が10万円をこえたとき⁠、こえた分を所得から引ける制度です。

医療費控除の額 = 払った医療費 − 保険などで戻ったお金 − 10万円

所得が200万円未満の人は、10万円ではなく「その5%」をこえた分が対象になります。

2. 家族の分をまとめられる

一緒に暮らしている家族(生計を一にする家族)の医療費は、合計できます⁠。夫婦と子どもの分を足すと、10万円をこえやすくなります。

申告するのは、家族のうち税率がいちばん高い人⁠にすると、戻る税金が多くなります。ふつうは、いちばん所得が多い人です。

3. いくら戻るのか

戻ってくるのは、医療費控除の額に税率をかけた分です。

たとえば、家族の医療費が1年で20万円、所得税の税率が10%⁠の人なら、

  • 医療費控除の額:20万円 − 10万円 = 10万円
  • 戻る所得税:10万円 × 10% = 約1万円
  • さらに、次の年の住民税も:10万円 × 10% = 約1万円安くなる

合わせて2万円ほどです。税率の高い人ほど、戻る金額も大きくなります(⁠「累進課税のかんちがい」⁠)。

出産や入院のあった年は、医療費控除を思い出す。

4. 対象になるもの・ならないもの

対象になる 対象にならない
病院・歯医者の治療費 健康診断・人間ドック(病気が見つからなかった場合)
処方された薬、治療のための市販薬 予防や健康のためのサプリ・栄養ドリンク
通院の電車・バス代 自家用車のガソリン代・駐車場代
出産のための検診・分娩費 美容のための施術

出産育児一時金など、保険から出たお金は差し引きます。

5. 申告のしかた

  • 確定申告で申請⁠します。スマホやパソコンから、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作れます
  • 「医療費控除の明細書」⁠を作ります。領収書は提出しなくてよいかわりに、5年間とっておきます
  • 健康保険から届く「医療費通知」⁠を使うと、明細を書く手間が減ります
  • 出し忘れても、5年前の分まで⁠さかのぼって申告できます

会社員でも、医療費控除を受けるには確定申告が必要です。確定申告をする年は、副業の所得なども一緒に書きます(⁠「副業の税金は「20万円」がひとつの目安」⁠)。

6. 薬局の薬なら「セルフメディケーション税制」も

対象の市販薬を年12,000円より多く買った人は、セルフメディケーション税制⁠も使えます。ただし、医療費控除とはどちらか一方⁠しか使えません。多く戻るほうを選びます。

まとめ

  • 1年間の医療費が10万円(所得200万円未満なら所得の5%)をこえた分が対象
  • 一緒に暮らす家族の分は合計できる。所得の多い人が申告すると有利
  • 所得税と住民税の両方が安くなる
  • 確定申告で申請。領収書は5年とっておき、5年前の分までさかのぼれる

この記事は一般的なしくみの説明です。くわしくは国税庁のホームページや税務署でご確認ください。

この記事を書いた人:管理人のこつこつ
都内で共働き・子ども1人と犬1匹の会社員。家計と配当の記録を、自分で作ったアプリで計算しています。 くわしいプロフィール